【弁護士解説】注文住宅のトラブルを防ぐ!計画から内覧までの段階別チェックポイント

注文住宅のトラブルは予防が第一です。これから注文住宅を建てる方に向けて、トラブルを未然に防ぐべく、思いつく限りの注意点をご紹介します。

第1 建築計画

1 間取り・標準仕様

⑴ 目隠しの設置義務

[法律]境界から1m未満の距離に建物を建てるとき、その窓には目隠しを設置する義務があり(民法235条)、将来的に隣家の住人から設置を求められるおそれがあります。

⑵ ダクトの距離

 トイレや浴室の換気扇について、ダクトの配管の距離が長いほど換気効率が下がるのではないかと思われます。建築士から「道から見える側にダクト穴があると見栄えが…」と言われても、これからずっと住むのは施主様ですから、慎重に検討しましょう。
 エアコンの室外機と室内機との距離が遠すぎると冷暖房効率に影響します。意識しましょう。

⑶ 換気システム

 換気システムには第一種から第三種まである上に、第一種換気システムの種類としても、ダクトの有無や熱交換器の有無で様々あります。長短はそれぞれあると思いますが、イメージと違ってはいけませんので標準仕様がどういうものかよく把握しましょう。

⑷ 壁紙の選定

 ハウスメーカーから手渡された壁紙のカタログは、旧版かもしれません。新しい住宅展示場を見学した際などに気に入った壁紙の品番はメモしておいて、担当者にその品番は標準仕様に入っていないのか尋ねるのがいいかもしれません。

⑸ エアコンの下地補強

 エアコンを取り付ける予定の壁には、下地補強をしておいた方が安心です。きちんと間柱にビスを打ち込めば足りるのかもしれませんが、エアコン設置業者による打ち外しやボードアンカーの使用をサボるケースがありえます。

⑹ 照明スイッチのパネル

 ダサいものでないか確認しましょう。

2 外構計画

⑴ 雨水枡の配置

 排水計画に不備があると豪雨の際に建物基礎周りに雨水が滞留することになり諸々懸念があります。格子状の雨水桝を増やした方がいいか検討しましょう。

⑵ カーポート

[法律]令和6年4月1日施行の法改正により、カーポートを設置するには、ごく一部の例外を除いて(建築基準法6条2項)、建築士事務所による建築確認申請が必要になりました(同条1項)。新築時に併せて建築した方が申請費用を抑えられるかもしれません。

⑶ 駐車場の勾配

 車を駐車したときに、前後方向に水勾配があるのは適切ですが、左右方向に大きな勾配があると、車の荷重が偏ってタイヤやサスペンション(足回り)の寿命に影響するおそれがあります。計画段階で指定しましょう。

⑷ 切り下げ工事

 建物の目の前の歩道の切り下げ工事はしなくて良いですか?役所に届出が要ります。あらかじめ検討しましょう。

3 仕様書の確定

 外壁や住宅設備、壁紙について打合せを確定させるとき、仕様書の余白に認印を押していきますが、そのとき、いったん仕様書を持ち帰るなどして品番をすべて確認しましょう。変更前のものかもしれません。発注ミスを未然に防ぎましょう。

4 地盤調査、地盤補強

⑴ 地盤補強の要否の判定

 地盤補強が必要になるケースは結構あると思います。予算に余裕を見ておきましょう。

⑵ 新設擁壁にかかる地盤調査について

 建物の地盤調査は義務ですが(建築基準法施行令93条)、擁壁(プレキャストL型擁壁など)新設の地盤調査は任意です。ここでハウスメーカーの担当者から(食い気味に)「擁壁の地盤調査はしなくていいですよね?」と訊かれても、「いいえ、お願いします!」と答えることをお勧めします。建物も擁壁も、完成後に傾いたら取り返しがつかないからです。地盤補強のために追加費用が生じるとしても、看過できないポイントかなと思います。

5 上棟式

 上棟式をしないケースは相当数あると思います。上棟式をしないときでも、2,3人の大工さんで問題なく棟上げできています。

第2 施工途中

1 心得

 監視あるのみです。一定のモラルのある業者さんであれば、元から施工不備なんてしません。

2 造成工事

 現場打ちコンクリート擁壁については、配筋の写真を撮りまくります(配筋が不足しているケースがあるからです)。

3 基礎工事

 鉄筋の配置については写真を撮りまくります(素人では判断できませんので何かあったときに検査会社に見てもらうためです)。図面と照らし合わせてスリーブ配管(筒)の配置を確認します。
 ※転倒すると危ないので内部には入らず外側から撮りましょう。
 コンクリート打設については、打設後にジャンカができないことを祈るのみです。打設後も(化粧モルタルを塗られる前に)写真を撮りまくります。

4 棟上げ~屋根工事

 棟上げ直後に屋根工事が1日ほどで仕上がります。屋根の施工についてはこの時にしか確認できません。ここでチェックすべきは「野地板の上から垂木(たるき)にビスを打ち込む際に打ち外していないか」です。双眼鏡を持ち込み、下から見上げて打ち込んでいるところを確認すべきです。野地板の上に屋根材が葺かれてしまったらもう上から確認できません。屋根材が葺かれた後に、下から見上げてビスの打ち外しを指摘しても、大工さんから「打ち直しました」(キリッ)と返答されて終わりです。

5 木工事

 木造軸組工法の場合、柱材を組むときには木材同士を緊結するための金物の取り付けが必要なのですが(建築基準法施行令47条)、どの種類が適切なのかは素人にはわかりません。やはり写真を撮りまくります。
 ボルトをしっかり締めていないことがあります。確認しましょう。
 筋交いという斜めの部材があります。この部材の端部について、(金物との位置の不都合からか)不自然に削った箇所があれば建築基準法施行令45条4項違反です。重大ですので騒ぐべきですし、是正されなければ建築確認審査機関の担当者にも告げるべきです。

6 断熱工事

 内断熱にも外断熱にも断熱材の名称ははっきり書いてあり、ネット検索すれば仕様書のpdfデータが見つかります。それに準拠して施工されているか確認します。内断熱なら袋の耳の留め付け不良や気流止めの不備がありえ、外断熱ならボード材の隙間の放置がありえます(発泡ウレタン剤を充填すべきです)。検査会社のホームページが詳しいです。

7 外壁工事

 外壁材にはステンレス製のビスを用います。スチール製だと錆びるからです。電気工事のときもそうです。業者さんに確認します。

8 換気設備工事

 キッチンのダクトは滑らかなものとすることが要求されます(ダクト内に油が滞留すると火事のときに危険だからです。北九州市の場合は北九州市火災予防条例第3条の4⑴カ)。蛇腹のものが多いので指摘して是正しましょう。

9 給排水工事

 建物内の排水官については、配管支持金具の間隔が適切か注意喚起します。これが不足すれば水圧で配管が脱落して建物基礎まで浸水する事態がありえます。
 建物外の給排水工事について、「土被り」「泥だめ」の深さの基準があります。北九州市ですと、宅地内の排水管の「土被り」が原則として深さ「0.20m以上」(北九州市排水設備技術基準第4章2⑴⑤)雨水桝の「泥だめ」が深さ15cm以上(北九州市排水設備技術基準第4章2⑵②カ)です。自治体ごとに同様の基準があるはずです。
 施工後に指摘してやり直させると大掛かりになってしまうので、施工前に、くれぐれも基準を守るように注意喚起しましょう。

10 タイル工事

 玄関などのタイルの床面については、打診棒でコロコロします。耳を澄ませていると、くぐもった音からいきなり「キンッ」と高い音がしたりします。そのときはタイルが浮いています。タイルの下に空洞があります。施工不備なので是正工事を求めましょう。将来タイルが割れてからではハウスメーカーが無償修理を断るおそれがあります。

11 外構工事

 配管の敷設後の埋戻し土について、しっかり締め固めてあるか確認します。不十分ですと晴天の時は良くても雨が降ったら急にぬかるむことがあります。

第3 内覧時

 「わぁすごーい!!」と満足して喜ぶ時間ではありません。脚立を持ち込み、棚上の奥など普段は見えないところを重点的に確認します。
 床には樹脂製の接着剤が付着していませんか?壁紙に染みはついていませんか?壁紙の継ぎ目のコーキングはすべてできてますか?リビングはできていても寝室になると急に不備が目立つかもしれません。ドアや戸の周りのコーキングについてはどうですか?
 巾木(はばき)同士の取り合い部はピタッとなってますか?
 外壁のエアコン配管カバーの末端には端末カバーの部材がついていますか?(散歩していると古い建物で配管カバーがずり落ちているのが目につきます。原因はこの部材を取り付けなかったからです)
 トイレの配管のナットはしっかり締まっていますか?(引渡し後になりますが)洗濯機の給水ホースの接続部はどうですか?

 不備が見つかったら指摘できる時にすぐに指摘してください。引渡し前であれば、ハウスメーカーも柔軟に是正工事に応じる印象があります。